papi139のブログ

観劇メモとか忘れたくないこと。

◆2023年7月8日 〜クロードと一緒に〜(マチソワ観劇)

はーーーー今日も始まってしまうーーー観たいけど終わってほしくないよぅ

週末だからか、いままで何もなかった赤レンガ倉庫の前にイベントスペースが出来てて、屋台があったりライブしてたりたくさんの人がいた。イーヴが来た広場もこんな感じで、みんな大声でくだらない話をして楽しそうで、それなのにこれ全部が一瞬で消去されたみたいな気分になったのだろうか……ねぇもう始まる前からしんどいんですが。

勘弁してくれぇ!!!(刑事の声で)

今日はロビー開場と同時に入って、モントリオールの写真集のパネルを一枚一枚眺めていた。どれもこれもなんていい表情なんだろうか。

凌さんがいつかのブログで「原作者であるデュボアさんにいつかこの作品を、彼を愛していますと一言でいいから感謝を伝えたい」ということを書いていたと知って、今回それが叶って本当に良かったねぇ…って。

彼自身イーヴを演じるのは最後だと思って挑む時に、実際のモントリオールの地を踏み、そこにあるものを肌で感じて、ずっと伝えたかった事も伝えられた上で演じることが出来ているって事なんだなぁと思うと、尊さしかない。

ベンチに並んで座っているイーヴ役の凌さんと、美しい彼役のデュボアさんの後ろ姿を見ると、なんかもう切なくてたまらない。

いろんな奇跡が積み重なっためぐり合わせ。は~~~~~~~~~~~~

 

劇場に入って舞台を観るとなんか毎回泣きたくなるんだよなぁ。なんなんだろうなぁこの感覚。
これからここで起こる事、いままで積み重ねてきたもの、インタビューなどから知ったこの舞台にかける想い、今日はどんな風にこころが揺さぶられるのか、自分もここにいることができて本当に良かった!しあわせだ!!みたいな感情がバーーーっと押し寄せてくる感じ。最近ほんと始まる前から泣いてる。すべてに感謝……

 

マチネ観劇。

 

もうさ……………毎回ほんと違うのすごすぎるんよ……生きてるんよ……

クロードの喉を裂いた瞬間、たぶんはじめて?本当に声をあげて叫んでた。聞いたことのないような悲鳴だった。引き裂かれるみたいな、文字で表現できない、焼き切れそうな声だった。(手で抑えても漏れてしまった、というのはあったと思うんだけど)

あまりの叫びに鳥肌が立ってしまったな……きっとイーヴの胸の中にはもっともっと激しい嵐があるのだろうけど。

でも今日は涙はなかった。私が見えた限りでは一粒もこぼしてなかったと思う。もうほんとうにからっぽで、涙も出ないくらい。声のトーンもなんだか幼くて、すべて本当に諦めて、だけどもう自分だけがクロードとの間にあったものを分かっていればいいんだ、それが全てだって、彼の覚悟みたいなもの、思い出も哀しみも絶望もこれから起こることも全部抱えてクロードと一緒にいる、というような。

わーーーーってなったのが、彼の全身にキスをした、のところで、明確に、確実に、「ちゅっ」ってリップ音が響くくらいにキスをしてて、いままで逆にそうしてなかったのが不思議なくらいなんだけど(くちびるでなぞるくらいなイメージ)
たぶんあそこまで明確にちゅってしたのもはじめてなきがする。ひえーーーーここへきてーーーーそんなことーーーーーーーすごく……よかった……よりいっそうリアルだった………

 

イーヴにとってのクロードは、なにがいままでの人と違って特別だったのか。

イーヴがはじめて見返りを求めない関係性でいられると思った(金を置いて家を出ようと思った)からだと思うけど、それはクロード自身も同じだったのだと思う。

僕は君を選んだよ、とただ伝えたかっただけ、決してイーヴに「(自分を)選ぶようには求めなかった」

お互いに同じ温度で見返りを求めないでいられたんだろうなぁ。

あと、クロードがイーヴと初めて出会った時「僕を見て、両手で顔を覆って空を見上げた」って台詞があると思うんだけど、それってもう一目惚れだったのかなぁ。

クロードが読み聞かせてくれた本を、大切そうに胸に抱きしめたのも切なかった。

判事の部屋から出ていく時も、目に力があったというか、まっすぐ前を見据えて歩いていた気がする。ある時は涙でぐしゃぐしゃになりながら、ある時は虚無と孤独を抱えながら呆然と、ある時は愛おしい微笑みをたたえて。

どんなイーヴもそこに生きた彼。

最高です。

 

今回のクロードで連日お世話になっているコーヒーショップがあるんだけど(1人でもカウンターがあるし充電も出来て助かる)マチソワ間、ここでボーっとするのがとてもすき。

思った事メモしたり、さっきまでの舞台を思い出して涙ぐんだり、それだけしか考えないすごく贅沢な時間。

普段日常生活を送っていると、仕事とか家事に追われて、本当の意味での自分のためだけの時間てめちゃくちゃ貴重じゃないですか…舞台を見ている時間も、誰にも邪魔されない自分だけの大切な時間。

 

 

ソワレ観劇。

その後の第一声。

 

無理です。

 

すごい俳優を好きになってしまった。

マチネとも、いままでとも違う、別の視点からこの舞台を見たような気がした。

ずっと感じていたのはイーヴの全身から溢れ出る慟哭だった。

人間には選べないどうしようもないことがあること、自分がゲイであること、ただそれだけで犯罪者扱いされる時代に生きていること、生きていく為に男娼という職業を選ばざるを得なかったこと、ケツの穴でしか人とかかわれる術を持たなかったこと、でもそれの何が悪いんだ!!これが自分だ!!!
availableと書かれたジャケットを叩きつける前にこちらにわざわざ見せつけて、叫んでた。これが自分の生き方なんだ!!!

もちろんクロードとのかけがえのない愛の物語ではあるんだけど、そしてわたしはどうしてもそこに強く感情移入してしまうんだけど、今日はイーヴという人間を通して見た彼自身の世界の話というか「僕の物語を聞かせた」って台詞の通りだと感じた。ものすごく今更だけど。はーーーーーー彼の生き様をみた………

あんたは全部知ってる、のあんたはイーヴ自身のことなんだろうな……あんたが出て行けば全て元通り、そんなことを考えるなんてナイーブすぎだ!!そうやって自分自身に何度も言い聞かせてきたんだろう。全部分かってるって。

なんか今日は台詞の端々で感情が溢れて声が震えてた。聞こえなくな…っのところとかも、彼だけいなくなるなんて信じられなかったって、このまま大声で泣き出すのではと思うほど。
出て行け出ろーー!!!!って絶叫した後机の周りを歩き回わらずに、今日は脱力したみたいに椅子に座って机に足を投げ出してた。この時も声が震えてたけど、まるで自分に対する嘲笑に失敗して泣きそうになってたように見えた。

最後、いつもは判事の部屋の鍵をテーブルに投げるけど、今日はクロードがいるであろう場所に、クロードの体の上に投げた。イーヴがここまでやっても諦めざるを得なかったというどうしようもなさが伝わってくるようで本当に辛かった。
それでも、その鍵とともに横たわるクロードのことをずっとずっと見ていた。なかなか動こうとしなかったし、やっと歩き出して、まるでこんなのなんでもないことだと笑おうとして、だけど出来なくて泣き声が漏れてしまっていた。つらかったんだとおもう。どうにかしてクロードの尊厳を守りたかったのに。

 

それから、爆発までに至るシーン。

初日から回を重ねて、リアルよりも更にすごい、リアリティのその先(?)を見せていただいている気がします。本当に息を呑んでしまう。クロードがいるわけではないけれど「見える」し、イーヴの興奮や滾る感覚、燃えるような熱さまで伝わってくるようで、いったいどういう演技プランを…?

のたうち回る肢体が本当に艶めかしい。すごくてすごい(100回目のすごくてすごい)

 

刑事が一人になった時に、靴先でタンタタタン、タンタタタンってしたり、椅子をグルグルしたり、速記者が椅子にウンコ座りしたりするのもなんか人間味があって良かったなぁ。

ところで神尾さんも井澤さんもかっこよすぎませんか?????

2人のバディ感みたいなのがすごく好きです。イーヴがいない時の二人は冗談言い合って笑ったり、普通に飲みに行ったりしてるんだろうな。

あとマチソワ共に、最後にギィがイーヴの靴を揃えて椅子の横に置いたのもとても印象的だった。

刑事も速記者も、イーヴの独白の途中から意識がちゃんとイーヴに向くというか(ギィも途中で速記を止めるし、刑事も一切口を挟まない)当初はまったく理解できない、拒絶、否定しか出来ないところから、共感は出来ないかもしれないけど、イーヴの感情に触れて、「理解しなくていい、でも解ってほしい」という願いが通じたのかな。

そうそう、クロードが日記に「プロと寝るのは妙だ」と書いてたと刑事は言っていたけど、あれはもしかして嘘なのかなって。イーヴに対する刑事の個人的な蔑みから出た言葉のような気がした。

それから、警護官のハルニさん。

センターから見た時に、イーヴが判事の部屋から出ていく時に階段の下で警護官がちゃんと待ってるんですが、イーヴを見る目がなんだか優しくてさ……部屋の中の会話って警護官にも全部聞こえている設定なのかな。その辺ちょっと分からないけど、最後はじっと聞き入っているような気がするので、同じく何か動くものがあったのかな。

 

「男娼とは生き方なんだ。年齢なんて関係ない」

そう叫ぶ彼を見て、イーヴというひとりの人間のプライドと生き様を改めて見せ付けられたような気がした。

それと同時に、松田凌という人の生き様が重なったようにも思えた。

「役者とは生き方なんだ。年齢なんて関係ない」

ッカーーーーー松田凌〜〜〜〜〜!!!!!!!!

これから歳を重ねてますます魅力的になって行くんだろうなぁ。

 

はーーーー今日は本当に圧倒されたし何度も何度も鳥肌がたって、もうたまらずに最後スタオベしてしまった。

素晴らしい時間をありがとうございました!!

どうか明日も無事に幕が上がりますように。

 

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